春の庭

デビューして15年、4度目の候補で芥川賞を受賞した柴崎友香さんをラジオのゲストにお招きいたしました。
スタジオではいつもあまり打ち合わせはせず、お話をうかがうことにしております。スタジオに入っていらして、ご挨拶をさせていただいた印象が”なんてチャーミングな方なの”でした。
お話もとても素敵でした。柴崎さんは1973年、大阪市生まれ。
大阪府立大学を卒業後、機械メーカーに勤務していた1999年、
短編「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」でデビュー。
翌年、初の単行本「きょうのできごと」を発表。
2007年「その街は今は」で第57回芸術選奨・文部科学大臣新人賞。
2010年「寝ても覚めても」で第32回野間文芸新人賞。
そして先月「春の庭」で第151回芥川賞を受賞なさいました。
私は7年ほど前に読んだ「その街の今は」がとても好きです。今回お目にかかるので読みかえしてみました。大阪を舞台に作中の人々のさり気ない暮らし、人の気配・・・。けっして大げさではなく「時の流れ」のようなものを感じ、あやうさの向こう側にあるものを描いているのが「その街の今は」でした。
今回の「春の庭」は、取り壊しが決まった世田谷のアパートが舞台です。元美容師の主人公「太郎」は、ある時、同じアパートの住人が塀を乗り越え、隣りの家の敷地に侵入しようとしているのを目撃し、そこから物語が展開されていきます。カギになるのは、写真集「春の庭」の存在です。
柴崎さんは高校生のころから小説家になることを志し、大学でも書き続け、就職して3年目に本格的に小説の道に進み、「どこでもよかったのですが、環境を変えたくて知り合いのいる東京にと生活の場を移しました」と。小説の中と同じで4回の引越しも全て世田谷区内。この小説で柴崎さんが描こうとしていらっしゃるのは「時の流れ」そのものではないかと感じました。でも、時間は目に見えません。見えないものを書くのは・・・作品の構想を練るうえで、街を歩くことも多いとか。そこでも人の暮ら、人の気配の感じる場所がお好きとか。街の息づかい、色、匂い・・・『小説が現実世界にはみだしてくる。そんな感覚を味わってもらいたい』とおっしゃいます。
でも、可愛らしく(失礼!)そそっかしい一面も。芥川賞選考当日は浅草のバーで編集者の方と待機。受賞の電話があった時、焦ってスマートフォンの操作を間違えて電話を切ってしまったとか。ひとり旅も不安でできません、と。ただ古地図など見ながら100年前にこの道を誰がどんな思いで歩いていたのかしら・・・と想像するとワクワクします、と。いろいろなお話を伺いました。ほんとうに”チャーミングな方”でした。ぜひご本を読んでください。そして、ラジオをお聴きください。
文化放送「浜 美枝のいつかあなたと」日曜10時半~11時
放送日は8月24日と31日の2回です。
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