御所人形の世界

箱根に今年もまた御所人形が京都からきてくださいます。
御所人形は鑑賞用の人形として江戸時代中期に大成され、宮中の慶事や出産、あるいは結婚など、さまざまな祝事の際に飾られてきた由緒ある人形です。木地の肌へじかに顔料で文様をほどこした彩絵の筥や台は、奈良時代に作られたものが現在でも正倉院に伝えられていますが、この伝統はその後宮中に伝わり、現在にいたっております。
有識御人形司・十二世伊東久重氏。伊東家では初代庄五郎のころより、代々「木彫法」により制作を続けています。御所人形の特徴である白い肌の光沢は桐の木地に胡粉(牡蠣の貝殻の内側の部分をすりつぶしたもの)を50回ほども塗り重ね、磨くことによってあの美しさが生まれでるのですね。気の遠くなるような作業です。現在、伝統技法を守る人形師はきわめてすくなくなっていますが、伊東家では100年、あるいは200年たっても「修復できる」ことを守りぬいています。
その伝統は、お父様、十二世 伊東久重先生からご子息の建一さんにしっかり受け継がれています。
ご子息の伊東建一さん作のお雛さまを今年は部屋に飾りました。優しさに満ち溢れた姿、そして透き通るような白い肌。人形のもつ品格と技、愛らしさ。今回の展覧会では御所人形の原点ともいえる子どもの遊び姿も拝見できるとか。初日の5月24日は建一さんと私のギャラリートークもいたします。「お人形に込める思い」などを伺おうとおもいます。作家から直接お話を伺い、作品を拝見すると愛おしさがまた深くなります。
皇后美智子さまもこの御所人形を愛でていらっしゃるのでしょうね。
樹々の葉も優しく風にそよぎ、箱根の美しい季節。
ぜひお越しをお待ち申し上げております。
伊東建一~御所人形の世界

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