茶道と競馬

『なぜ競馬学校には「茶道教室」があるのか』
13日は阪神競馬場で桜花賞、来週は中山競馬場で皐月賞があり、3歳クラシック戦線の開幕です。
なんて、私が競馬に詳しいとお思いでしょうか。
いえいえ、まったく疎いのですが、たまにテレビ観戦をしている時に「なんて馬も騎乗している選手も”美しいのかしら”」と魅せられることがあります。その答えが分かる本に出会いました。
それが「なぜ競馬学校には「茶道教室」があるのか: 勝利は綺麗なお辞儀から」を上梓なさった原千代江さん。
原さんは1947年、新潟生まれ。
1982年に設立された、JRA(日本中央競馬会)の競馬学校で、今も茶道を教えています。
『心の整え方 勝負の作法』
心との向き合い方、無駄のない騎乗フォーム・競馬にかかわる人たちへの感謝
「僕は先生に授業から全てを学んだ」と帯で武豊さんが語っておられます。
第一線で活躍するジョッキーたちが、いまなお心に残る授業としてこの茶道教室をあげるそうで、競馬と茶道には、関係がなさそうに見えて、実は相通じるものが非常にあることが、原さんのお話を伺って分かりました。
わずか十五歳にして、覚悟を持って入ってくる新しい生徒たち。騎手という勝負の世界で生きる選択した彼らに必要なのは、お茶の技術ではなく、お茶の礼儀作法や美しい所作です。そして、それはそのまま、現在失われつつある日本人の心でもあります。と仰られます。
最初は「お茶の授業?騎手になんでお茶なんだよ」
イガグリ頭で、ちょっとむさ苦しい男の子たちが、口を尖らせてわたしの前に迫ってくる・・・。それが、JRA競馬学校の第一期生との出逢いだったそうです。
「競馬学校でお茶ですか?」
「いや、そんなに堅苦しくかんがえないでください」
「でも、生徒にお茶を教えるんですよね?」
「騎手を目指している子どもたちに、お茶が必要なんですか」
「お菓子の食べ方だけでいいんです」
原さんは頭の中に「?」がたくさん飛び交ったそうです。
お菓子のいただき方にも作法があります。
それを覚えるだけでも大変なことです。
「こんなの、指でつまんで、そのままパクッと食べればいいじゃん」
そんな彼らに、どうすれば、この子たちに分かってもらえるかしら。
力の入れ加減で型が崩れてしまう、和菓子職人の心を、自分たちの手で扱うことを知ってほしい、など等。一頭の子馬を誕生から育成まで、あらんかぎりの愛情を注いで育てあげる幾人もの方々の気持ちが分かる騎手になってほしい。
そんな思いではじまる授業ですが、掛けた軸、活けた野の花、彼らジャージやジーンズでのイガグリ頭の子供たちも正座には「うおっ・・・」「もう、だめ・・・」「無理・・・」転げまっていても回をかさねていくと驚くほどの早いスピードで、自然に美しいフォームになります。正座の綺麗な生徒は、馬に乗ったときのフォームも綺麗とか。お辞儀も、回をかさねるとごとに美しくなるそうです。
そんな彼らのなかで突然の別れもきます。レース中に起きた事故で亡くなった
競馬学校卒業生。命をかけて生きる若者たち。暖かな眼差しで茶道を教える原さん。スタジオでお話を伺っていると、茶道を通じて、彼らになにを感じとってほしいのかが分かります。
お辞儀が綺麗な人は心も綺麗ですし、人にも自分にも、ときには厳しく、ときには優しくなれます。
お辞儀には、男も女もありません。騎手も、子どもを育てているお母さんも、会社の社長さんもみんな同じです。とおっしゃいます。
背筋を伸ばし、馬に騎乗する選手のたゆまぬ見えないところでの努力は、人に感動を与えてくれるのですね。
ラジオではたっぷりお話を伺いました。
そして、原さんの人生を重ね合わせて読む本に心打たれました。
放送は4月13日・文化放送「浜 美枝のいつかあなたと」
日曜日・10時半~11時です。
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「茶道と競馬」への4件のフィードバック

  1. 一流騎手を育てた「勝利の作法」
    競馬学校に「茶道」の授業があることをご存知の方は少ないのではないでしょうか。
    著者の原千代江さんは、第一期から現在まで、33年にわたり競馬学校で茶道を教えてきました。
    15歳で自らの将来を決めた若者たちに必要なのは、お茶の技術ではなく、お茶の心――礼儀作法や美しい所作。それはすなわち、いまや失われつつある日本人が本来持っていた心です。
    嘘をつかない。卑怯なことはしない。
    季節を愛で、自分の内面と向き合い、本物を知ることで本物に近づく――。
    一流の騎手になる前に、おもてなしの心を持った、潔く、責任ある行動のとれる大人になってほしい。
    そう考え、生徒たちと接してきた原さんの授業は、今もなお卒業生たちから厚い信頼を得ています。
    「心とどう向き合うか」「無駄のない動きをどう身につけるか」など、現代社会を生き抜くヒントとともに、武豊さん、柴田善臣さん、横山典弘さんなど一線で活躍するジョッキーたちのエピソードも満載の一冊です。

  2. 素敵なお話に感動しました。
    これから、このお話を念頭に《競馬中継》を楽しみたいと思います。
    改めて日本の良さを感じると共に、自分の感覚で、私自身から発信できる日本の良さを発見したいと思いました。
    次はどんな世界を紹介して頂けるのか、楽しみにしています。

  3. sinsukeさん
    私も始めて知った世界でした。
    やはり、ものごとの本質にはこうした”心”が大切なのですね。
    原さんご自信も人生につらいことがあったから人への優しさや
    美しさ、そして厳しさが分かる方なのですね。
    浜 美枝

  4. ☆のかけらさん
    茶道を通して日本のよさを感じ、日本人だからこそ
    分かる感性があるのですね。
    命をかけて騎乗する若者たちに頭が下がります。
    日本の文化の素晴らしさを知った思いです。
    これからもあらゆるジャンルの素敵な方々をラジオ
    のゲストにお招きしたいと思います。
    浜美枝

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