長野・善光寺への旅

「食アメ二ティー・コンテスト」がスタートしたのは、平成三年のことでした。
当時は「アメニティーってなんですか?」というご質問をいただくこともたびたびでした。
私は40年にわたり、全国の農山漁村を歩いてまいりました。
そんな中で気がついたことがあります。
それは地域の活性化に果たす女性の役割が非常に大きいこと。
特に女性が司る食の果たしている役割が非常に重要であるということです。
新しいチャレンジは、なかなか理解されにくいものです。
それが大変素晴らしいことであっても、家族や近所の人は、日常を共にしているがゆえに、その素晴らしさに気がつかないこともあります。
もし、日本の様々な場所で、女性たちがそれぞれひたむきに活動していることに光りをあてることができたら、活動している人たちを元気づけ、今から活動したいと思っている人たちを励ますことができるのではないかしら。そして、そのような女性たちを指導している人、サポートしている人たち・・・皆んなで力をあわせれば、「日本の農業を元気にすることができる」・・・と思いました。
今でこそ、農村女性に光があたり六次産業化も普通になりました。それでも、表に出たくても出られない女性たちが大勢います。「農業を影で支えているのが女性」であっても。そこで国と農村開発企画委員会の方々のご賛同を頂き生まれたのがこの「食アメコンテスト」という事業でした。
伝統食を守り、地域の食を守り、新たなビジネスを起こし・・・などなど素晴らしい活動がこの20年で活発に動きだしました。
「自分の銀行口座」をもつ人も現れました。
自分たちのための変化だけではありません。
農山漁村の女性たちが、新しいことにチャレンジし、活発に動き出したために、地域全体が活性化し、生きがいを見つけ、生き生きとした表情で都会の消費者との交流を持ち、意見交換を活発にし、この20年やってまいりました。
そんな中から「もっと勉強がしたいわ」と仲間が集い「食アメネットワーク」の会も生まれました。ヨーロッパや韓国などグリーンツーリズムの勉強や農村女性との交流など多くのことを学んでまいりました。
この会も「そろそろ卒業ね」と私は申し出て一昨年解散しました。
でもこの友情には終わりがありません。
「ハッピースマイルを訪ねる会」として80歳以上のお元気な仲間を訪ねる旅に変わりました。昨年は熊本・天草にお訪ねし、今年は長野で集合しました。
遠く、沖縄から、天草から全国から参集し幸せな2泊3日の旅でした。


今回は宿坊に泊まりました。
善光寺永代宿坊・常智院。
夜はお寺の奥さまの手づくりの精進料理です。


弥生 桃の膳
お迎えは さくら茶 結びこぶ さくら餅 かきあられ
夕食は甘酒で乾杯
向付 くるみのおさしみ 生こんにゃく 生わかめ じゃが芋のなます
梅ぶ 胡麻豆腐 黒豆の含め煮 クコの実 山椒の佃煮
汁 おぼろ月夜汁 わらび豆腐 しら玉 菜の花 おぼろこぶ
そして桃ごはん
八寸風 湯麩田楽 ふきのとう天ぷら くず桜せんべい
煮物 生うど 高松産生うどの豆乳ピーナツクリームかけ
最後のデザートは杏仁寄せ いちごペースト添 杏のシロップ漬けでした。
朝食の精進おとしも、それはそれは美味しくいただきました。
ご縁をいただきまして本当にありがとうございました。



翌朝は早朝4時に起き「善光寺の朝」を静かに迎えました。
善光寺が一日のうちで最も生き生きとその本来の姿を見せるのは朝だといわれます。古(いにしえ)より伝えられてきた信仰の息吹を、五感で感じられます。太陽が昇ってきます。
法要の前には本堂前で「お数珠頂戴」といって導師を務める住職が数珠を頭に撫でてくださいます。
日の出とともに始まる「お朝事」一時間の毎朝のお勤め。私たちも本堂でご参拝させて頂き朝の清新な空気、静謐な空間。堂内に響き渡る読経や木魚の音を体いっぱいに取り入れ農村女性たちと、すべてに感謝し手を合わせました。
命の輝きを温かく見守るような優しさで、あせらずたゆまず、困難なことも多いかもしれませんが、一歩一歩、大地を踏みしめるように歩んでいる貴女たち。
けっして派手ではありません。
華やかでもありません。
けれど、春が近づいたときに、くっと大地から首を伸ばして、寒風にもめげずに、あたり一面に甘い香りを漂わせながら咲き誇る、一本の水仙の花のように。これからも手をたずさえ、私たちの愛しい日本のために生きていきましょう。
みなさん、ありがとう。素敵な旅でした。