京都・「ギャルリー田澤のクリスマス」

『ギャルリー田澤』は私にとってずっとずっと憧れの場所でした。
お店の前を行ったり来たり・・・
京都は私を骨董の世界へと導いてくれた場所。
10代のころ京都に降りたったとき、思わず立ち尽くしたのを私は覚えています。そこには日本の美しく繊細な街並みが広がっていました。
木造の町屋がずらりと並び表通りには、昔ながらの看板やたたずまいを残したお店がつづいていました。
鴨川の流れが日差しに反射してキラキラと光っていました。
橋を渡り二条通りを歩いていたら「ギャルリー田澤」に出逢いました。
店の入り口のしつらえ、そのセンスの良さに目を奪われました。
それから数年はお店の前をやはり行ったり来たり。
ある夏の日、美しく打ち水がされた店内へと足がひとりでに向くのです。
にこやか迎えてくださる田澤ご夫妻。
そこには『和魂洋彩』を唱えるご夫妻の美の世界が広がっていました。


ガラス・ランプ・古伊万里やラリック・バカラのお皿やグラス・・・
卓上ランプに灯りがともり「なんて美しいの・・・」とつぶやいていました。
赤褐色のバカラのランプの肌にひじょうに細かく描かれた文様を見ているだけで、心が静かになごんできます。
和室には絨毯が敷かれ洋風のしつらえ。
お茶をなさっているからこその美意識。
世界で一番美しいギャルリーだと思います。
「西洋では、アール・ヌーヴォーあるいはアール・デコと決めたら、食器から家具まで全部を統一します。洋食のテーブルセッティングだって全部同じスタイルでフルコースをそろえますが、日本にはそういうのを嫌って、ちがうものを組み合わて、そこに調和のあるテーマを見出すという感覚を大事する傾向があります。これは日本独特の文化です」と、今は亡き田澤長生さんは語られました。
クリスマスの季節が来るのが毎年楽しみです。
美しく飾られた花々・・・昼間と夜とでは表情が変わるセッティング。
胸がぽっーとあたたかくなった気がする午後から夕暮れの時間でした。

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