奈良・唐招提寺への旅

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大阪・近畿大学の授業があったので、大阪に前日入りし奈良に行ってまいりました。
目的は「唐招提寺・国宝 鑑真和上座像 御影堂障壁画」の特別開扉を拝見するためです。
大阪から近鉄で西の京駅下車、歩いて700メートルくらいです。
木陰を歩くと爽やかな風が。こうして同じ道を何回歩いたことでしょう。
唐招提寺は修学旅行生もあまりいないし、奈良の中では室生寺につぐ好きなお寺さんです。
今回の大きな目的は、奈良時代に渡来した唐の高僧、「鑑真和上坐像」の摸像を2年以上かけて制作し、当時の技法を忠実に再現し、いろいろその謎が解き明かされた・・・と知って、その模造の「御影像」も拝見しその謎が知りたかったことです。
そして、私の大好きな「鑑真和上」を参詣すること。
以前、NHKの番組で唐招提寺を取材させていただきました。
御影堂の室内は静謐そのもの。
画家・東山魁夷が構想から12年の歳月をかけて描かれた障壁画。
ただひとり静かに、心鎮めて拝見できたのは至福のひとときでした。
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境内の木々の緑は初夏の陽光を浴び、白や淡いピンクの蓮。
菖蒲が池で花を咲かせています。
平成の大修理(00年~09年)も終わり正面に見える金堂(国宝)、参道の玉砂利を踏み締めて進むと、金堂の屋根の美しさ、偉容に圧倒されます。
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金堂の横から苔むした庭を歩き、御影堂へと進みます。
今年は6月5日に開眼供養を行い、7日から公開。国宝像も5~9日まで特別公開されたのです。並ぶのを覚悟で行ったのですが、人は多いもののスムーズに入れました。
なぜ、私は「鑑真和上」に惹かれるのでしょうか。
慈愛にみちたお姿。
742年に日本からの熱心な招きに応じ渡日を決意されますが、当時の航海は極めて難しく5度の失敗を重ね盲目の身になられても、意思は固く6度目の航海で来朝を果たされます。
辿りついた海岸が鹿児島の南”秋目”だったとされていますが、不思議ですね、私は007の映画のロケ地が同じ秋目の海岸だったのです。ご縁を感じます。
東山画伯が、日本の美しい景色の象徴として鹿児島上陸の地、坊津の秋目浦を描いた厨子絵「瑞光・ずいこう」などをみつめながら進むと、「鑑真和上」が静かに佇んでおられます。お焼香をする方、和上の前で静かに座禅を組む方・・・私も20分ばかりその前で正座しながら拝顔いたしました。
やはり”慈愛”にみちたお姿でした。
廊下に座りしばらく庭を拝見しました。
そして、謎について想いをめぐらせました。
日経新聞(夕刊)5月20日に掲載されていた記事をもう一度読み返しました。
和上の死期が迫っていることをさとった弟子たちは、容姿だけではなく、精神性をも映す御影の制作に取り組みます。
「和上像は興福寺の阿修羅像など他の脱活乾漆像とは技法、造形方法が違う」と新聞には載っていました。
漆は少なめ、素手で形づくられたこと、ひげの一本一本が、描かれ、衣の糸のほつれまで表現されていることが分かったそうです。袈裟も、様々な生地の切れ端を縫い合わせた「糞掃衣・ふんそうえ」だったことが判明されたと書かれています。
清貧にして質実な鑑真・・・なぜ私が惹かれてやまないのかが少しわかりました。
外に出て、帰りに模像の”身代わり像”を拝顔いたしました。美しい袈裟をまとい彩色された鑑真和上座像の模像のまつげや無精ひげの再現など、魅了されました。
奈良ホテルのラウンジでシャンパンを飲みながら緑深い庭を見てから大阪の喧騒の中へと戻ってまいりました。