小浜市の伝統行事と食

先日、福井県若狭で「小浜市の伝統行事と食」というシンポジュームに招かれ伺ってきました。

「若狭のよもやま話」・・・と題して、民俗学者の神埼宣武さんとご一緒に若狭・小浜の伝統文化や食について興味深いお話が伺えました。
豊かな歴史と自然に育まれた若狭小浜は「御食国」「鯖街道」「社寺と町並み」など伝統行事が各地区で守られ、海・山・里が一体となって文化が守られている地域です。
私が若狭に通い始めたのはかれこれ20年ほど前でしょうか。
京都でもなく、北陸の各都市とも違うこの地、初めはワケもなく惹かれ、京都と金沢を行き来する間に何度も途中下車して寄り道してきた歴史があります。
四季折々の空の色。
海辺の町のおかずの匂い。
この地に釘づけになったのです。
旅人でありながら住み着くことを考えるほどこの地に惹かれてしまったのです。
特に夏の終わりの「地蔵盆」のことは人づてに聞いていました。
その頃に訪ねたい・・・と思いうかがったのが17年前です。
ゆく夏を惜しむかのように鉦や太鼓で送る子らの念仏が今も心に残ります。
「伝えなければすぐに途絶えてしまう」
そういう思いで守られてきた伝統行事です。
14歳までの少年たちが8人、小部隊を組んでとり行われます。
15歳からは青年会に入ります。
地蔵盆で男子は社会の仕組みを知るらしいです。
8月20日の地蔵洗いと厨子洗いに始まり旗づくり。行灯をつるす松をとりに山へ行く。子供たちだけでワッショイ、ワッショイととってくる。お堂建て。このお堂で子供たちは泊まります。
この行事は男の子が成長する大切な通過儀礼であり、それが伝統。
子どもの祭りだから大人は”手をださない”子ども任せ。
子供たちはカネやタイコではやしたて、町ゆく人、旅人を引きとめて、
そなえてもらうよう願います。
「な~もじぞう、な~もおけそこ」という不思議な呪文。
夏の終わりの祭りです。
見事な彩色地蔵は、やはり若狭小浜の独特の風習。
私は思うのです。
“都会を追い求めないで”・・・と。
日本の食文化は、ひとつの食材を「走り・旬・名残」とうつろいの中で楽しみます。季節の食材を大切に慈しんできました。
今の教育現場では「食育」という言葉が使われます。
もちろんそれも大切です。
でも・・・こうした日常の暮らしの中から子供たちが成長していくことを大人たちは大切にしてほしい・・・と感じた若狭の旅でした。

浜からの風を感じながら、お魚市場での買い物。
焼鯖づしを買いローカル線に乗り、帰路につきました。
(車中で焼鯖づしとビールで乾杯!)です。

「小浜市の伝統行事と食」への2件のフィードバック

  1. 書斎でゆっくり4月締め切りの原稿に取り組む予定でしたが…
    あまりにものいい天気の誘惑に負け、チャリ走&サウナ(*^^)v
    いいリフレッシュにはなりましたが、原稿は…
    さて、今日は1月に結成された
    「小浜市の宝を守ろう会」
    の市内バスツアーでした。
    国宝明通寺を中心に、子供たちに小浜の文化財を知ってもらおうと結成されたのです。
    地元の松永地区の子どもを中心に市内全域から30名ほどが入会しました。
    昨年から寺院の清掃体験や防火訓練参加、ぬり絵教本などを作ってきたのですが、
    今日は明通寺を飛び出し、バスで重文の羽賀寺さんと妙楽寺さんへGO!!
    たぶん10代から40代の小浜の人で、明通寺・羽賀寺・妙楽寺をお参りしたひとは、ほんの一握りじゃないかな?子供の経験として少しでも小浜の宝に意識をもってもらえればHAPPYです。
    そして、みんなが大人になったら、自信をもって小浜の宝をPRしてね☆
    子供が産まれたら家族でお参りしてね☆
    地域に誇りのもてる子供の体験。
    少しでもお手伝いできていれば幸せです。
    さあ…
    若狭坊は体協の総括飲み会に出陣します(笑)

  2. 早乙女さま
    ブログへの投稿ありがとうございました。
    先日の会にお越しいただいたのでしょうか。
    「小浜市の宝を守ろう会」素敵ですね。
    小浜は歴史・文化・食の宝庫。
    住民の皆さまの意識も高く、”自信を持って
    小浜の宝をPRしてね”・・・その通りですね。
    町づくりって、そこに住む人々の意識、
    「誇り」だと思います。
    早乙女さんのような方々が街の文化を支えて
    おられるのだと思います。
    ”総括飲み会”はさぞ盛り上がったことでしょう。
    浜美枝

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