心とからだを元気にしてくれる食

千葉県柏にある麗澤大学・麗澤オープンカレッジに招かれ先日伺ってまいりました。
「地域にひらかれる、大学の知性」
大学で学びたい夢を、ぜひ実現のものに・・・をテーマに大勢の方が学ばれています。5、6、70代の男性・女性、ホールは大勢の方が参加してくださいました。
私は「食料危機」をテーマの柱にしてお話をいたしました。
1時間45分。
「食料危機」といっても、ピンとこないかも知れません。
スーパーに行けば、野菜も肉も魚も卵もあふれんばかりに並べられています。
コンビニにも様々な種類のお弁当が彩り豊かに並んでいます。
街にでれば、和食、中華、洋食、ハンバーガーや牛丼、ドーナッツなどのファストフードの店が数えきれないほど軒を並べています。ですから、「カロリーベースで日本の自給率は約4割」と言われても、実感がわきません。
でも、この数字は座して待っていて、なんとかなるだろうではすまない数字です。先進国で最下位なのですから。
「でも国産牛、国産豚、国産の鶏肉、卵。そういうものがあるから大丈夫ですよね」という方が結構います。ラベルを見ると、確かに国産と書いてあります。
問題はこれらの家畜のエサは何かということなのです。
ほとんどが「輸入」ものです。
醤油の原料の大豆、砂糖の原料のサトウキビやサトウダイコン。
これらもほとんどが輸入ものです。
もし、輸入がストップしたら、食べものはスーパーやコンビニの棚から無くなってしまう。
農の現場は、高齢化・過疎化が進んでいます。
農業従事者の平均年齢は65・8歳です。
もちろん地域でがんばって農業をビジネスとしてなりたたせている若者も多くいますが、米作農家に限れば平均70歳です。皆さんお元気で本当に若いのですが、10年後ほとんどの方々が引退を余儀なくされることが予想されます。
この20年で農業従事者の数は約900万人から560万人に激減しました。
日本の耕作放棄地は今、40万ヘクタールに拡大してしまいました。
埼玉県(37万ヘクタールくらい)より広いのです。
一度放棄して荒れてしまった土地を、また畑に戻すのは至難の業です。
日本の農業が衰退したら、「輸入すればいい」という考えをもつ人もいらっしゃいます。日本は電化製品や車を輸出しているのだから、食糧も輸入してバランスをとればいいという考え方もあります。
養鶏業者、ブロイラー飼養業者も激減しています。
それには輸入飼料の値上げが大きくかかわっています。
酪農家もしかりです。
2006年秋、国際的穀物価格が高騰しました。
トウモロコシから始まり、大豆、小麦にも飛び火しました。
その背景としては、
・中国・インドなど経済発展にともなう食肉消費増大と飼料穀物需要の拡大。
・バイオエタノール原料向けのトウモロコシ利用激増と飼料穀物の不足。
・トウモロコシのエタノール化にともなうアメリカにおける大豆からトウモロコシ作りへのシフト。
・オーストラリアなど穀物輸出国の異常気象による小麦収穫量などの激減。
米を主食とするフィリッピンは米が値上がりして、暴動になりかねなかったのは2008年のことでした。世界的に見ても、今、米や穀類の不足が大きな問題になっています。
『自給できない国、それは国際的な圧力にさらされる危険を抱える国なのです』といったのは、アメリカのブッシュ大統領。息子さんではなくお父さんのほうです。
そのアメリカに日本の食は依存しています。
フードマイレージ。「輸送に要した距離×重さ」
日本は約9、000億トンキロメートル。韓国の3,4倍、アメリカの3,7倍。
生産地と食卓の距離が遠くなるほど、輸送時に地球温暖化ガスや大気汚染の原因と考えられている二酸化炭素(CO2)や二酸化窒素(N02)が排出され、環境に悪影響を及ぼします。
『今、日本はフードマイレージが世界一』です。
そして、バーチャル・ウォーター(仮想水)
食料を輸入することは仮想水も輸入されるということです。
ロンドン大学のアンソニー・アラン氏が提唱した概念とされています。
日本が輸入しているバーチャル・ウォターは、国内の年間水使用量と同程度になるとの試算もあります。
100グラムの輸入牛肉ステーキを食べるのは、他国の2,5キロの穀物を食べ、他国の2トンの水を飲んでいるのと同じということになります。
輸入に食料を頼っている日本の輸入しているとされるバーチャル・ウォターも世界的に見てぬきんでて多いのです。
でも、私は日本の食に絶望はしていません。
あきらめるわけにはいかないのです。
私のまわりには、日本の農業の未来を信じ、汗水流すことをいとわず、上質な野菜を、卵を、果物を、肉を作る人が大勢がいます。安心して食べられる食べ物、丁寧に食べたくなる安全な食べ物。
『日本の食を育てるために』
何が私たちにできるでしょうか。
それは「地産地消」・・・です。
トレーサビリティ。
地域で取れたものを地域で消費する。
できるだけ近くでとれたもの、できるだけ誰がどんなふうに栽培したものかわかるものを購入する。
ひとりひとりの力は微力であっても、みんながこうしたことを心がければ、他国の水資源を消費し、北アフリカや中東を中心とする貧しい23カ国20億人以上の人たちが、生きるための水が足りない「水ストレス」の解消に少しは役立つはずです。
自分たちの安全安心のためにも、日本農業のためにも、世界のためにも、「地産地消」が理にかなっている・・・と私は思います。
農業は日本の「文化」の根幹です。
日本は生物の多様性に恵まれた国です。
他の命と大地とはつながっているということを、多くの人が感じ取っている国です。
『自然の恵みのもとで培われてきた日本人の感性がこれほど試される時代』はありません。
このようなお話をさせて頂きました。
それは、私が4人の子どもの食を担い「食と命は直結している」と子育て時代に実感したからです。
皆さんのお考えを伺いたいです。
広大な、緑多いキャンパスの中を通り、受講くださった方々と何だかお互い共有できた幸せを胸に箱根に戻ってまいりました。
皆さま”ありがとうございました”
また、お逢いしたいです。
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「心とからだを元気にしてくれる食」への2件のフィードバック

  1. 先日の講演会の内容を紹介していただき、ありがとうございました。
    当日、聴講した同級生から、少しだけ聞いていましたが、より詳しく
    書いていただき、考えさせながら読ませていただきました。
    毎日、口にしている「食物」のことに、もっと関心を持っていかなければ・・・と改めて思いました。

  2. 井上さま
    ブログへの投稿ありがとうございます。
    そうですね、「食」は命へ直結しているのに
    日常では中々実感がありませんよね。
    でも、地球規模で将来を担う子供たちのためにも、
    私たち大人が出来るところから実行していきたいですね。
    明日更新のブログも「美しい日本の暮らし」を実感できるところです。
    寒さが続きます。御自愛くださいませ。
    浜 美枝

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