始発電車を待ちながら

東京ステーションギャラリーが5年の時を経て新しいギャラリーとして誕生しました。丸の内北口ドーム内に入り口を移し、以前より広くでも以前の赤レンガを残しつつ設備も充実したスペースとしてのオープン。

先日、行ってまいりました。
「東京駅と鉄道をめぐる現代アート9つの物語」
2012年10月1日(月)~2013年2月24日(日)
9名の個性豊かなアーティストたちが東京駅と鉄道・・・という独自の切り口での作品が展開されていて、新しい物語が紡ぎだされています。
大洲大作「光のシークエンス」の前で、思わず胸がキュンとしてしまいました。
旅の出発点であり、終着駅でもある「東京駅」。
鉄道の旅の素晴らしさは、なんといっても車窓の風景です。流れ行く車窓から見た風景のかずかず。ある時には郷愁を感じ、またある時には、人の営みを身近に感じ、ある時には雨に濡れる車窓から旅の匂いを感じ・・・窓に踊る光やスピード感、その土地の風物や生活に滲む情感が心を揺さぶります。
大正三年(1914年)辰野金吾博士設計により丸の内に建った趣のある立派な駅舎。関東大震災や戦争の災禍を堪え抜いた姿は、単なる建築物というより、私たち日本の歴史を共有してきたシンボルとして、感動すら覚えた駅舎が100年の歴史を経て平成18年から始まった駅舎保存、修復工事を終え、新しい「東京駅」に生まれ変わりギャラリーも創建当時の煉瓦をそのまま生かした展示室となっているのは嬉しかったです。
展示を観ての帰りは回廊を出て、ドームの内部を見ながら人々の行き交う姿に旅情をかきたてられます。ノスタルジックな雰囲気とマッチしながらもモダンな設備を備えた素晴らしい美術館です。
次回は『東京ステーションホテル』のバーに行きましょう。
一杯のカクテルに会いに。
『カメリア』でのカクテルの再会は楽しみです。バーのカーブした窓、昔のぼこぼこしたガラスは残っているのかしら。そこに映る外の風景、電車が入ってくる、出ていく。それだけの風景なのですが、なぜか味わいがあるんです。厚ぼったいガラスの向こうにユトリロの絵のような電車がボーッと浮かび上がり、うっとりしてカクテルをいただくわけです。
カメリアのキャプテン杉本さん。
また、「ハスカップ・ユーリンス」を作ってください。北海道のハスカップにワインとウォッカとレモンをカクテルしたもの。
北海道への旅情が募る、一杯でした。
通勤客に混ざって、改札口でなかなかさよならできない恋人同士、週末の二人だけの旅に出発する恋人たち。
駅はドラマの始発駅であり終着駅。
いつの時代も駅は、出会いや別れの交差点なんですね。
あ~、又旅に出かけたくなったわ、そんな午後の昼下がりでした。

「始発電車を待ちながら」への2件のフィードバック

  1. 出展作家の大洲と申します。たまたま記事を拝見させていただきましたが、素敵なご感想をいただきまして恐縮しております。
    プロジェクション(投影)の作品につきましては、12月か1月には新作への変更を予定しておりますので、またご覧いただける機会がありましたら幸いです。
    スタートラインについたばかりの、本当に駆け出しの作家ではございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。ひとこと御礼を申し上げたく投稿させていただきました。

  2. 大洲大作さま
    わざわざコメントの投稿ありがとございました。
    大洲さんの「光のシークエンス」は本当に素敵でした。
    12月か1月に新作が変更されるとの事、とても楽しみです。
    また伺います。
    大洲さんが感性豊かに表現されているアートの世界は、
    観るものを旅情へといざなってくださいます。

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