黒姫・アファンの森を訪ねて

長野県・黒姫にあるC.W.ニコルさんの森に行ってきました。

コスモスの咲き乱れる畑の中を車はアファンの森へと向かいます。
今回はアファンの森の活動を支援してくださる「箱根やまぼうし」のお客さまたちとご一緒でした。
長野県飯綱山の山麓に広がるアファンの森。
40年以上放置されていた森をニコルさんが少しずつ買い取り、動植物が再び暮らせる森に再生活動を行ってきました。
山一面に生い茂ったやぶを刈り、朽ちた木を間伐するという気の遠くなるような作業を繰り返しました。太陽の光が地面にさしこむようにして、その土地になじむ新しい苗木を植え続けてきました。
そして今、アファンの森には、清らかな湧き水が流れ、わさびなど170種類もの山菜が自生し、93種類以上の鳥、490種類の植物、1000種以上の昆虫が帰ってきたといいます。フクロウやクマも遊びにきます。春ともなれば楚々とした花が咲き乱れます。

“ニコルさん、こんにちは”
彼があの笑顔でお迎えくださいました。
皆さん森の空気を胸いっぱい深呼吸していました。
私がニコルさんにはじめてお会いしたのは、四半世紀も前のこと。
自らの手で森づくりをはじめたまさにその頃でした。
「豊かな森は生きる力を与えてくれる。森は心の再生」というニコルさんの考えに、深く共感し、雑誌の取材で家にお邪魔したのがはじまりです。
日本の森林行政に疑問をもつ私です。
遠目には美しい緑の森に見えても、その森に入ると、植林した杉が倒れて
いたり、伐採されたまま放置されていたり、人の手が入らず荒れ果てていたり・・・本当に美しい森は少ないということに気がつきます。
100年後の森林を考えての森のありかたでなければいけません。
「森を失ったら文化は滅びます。森の再生、復元にはたくさんの時間、手間、そして愛情が必要だけど、誰かがやらなくてはならないんだ。」
私財を投げすて、森づくりをしているニコルさん。

『アファンの森』とはケルト語で「風が通るところ」という意味だそうです。
その森「アファン”心の森”プロジェクト」に毎年養護施設で暮らす小学生、盲学校に通う子供たちも招かれています。子供たちは木登りやブランコ、生き物探しなど「森遊び」で心を解放する時間を共有します。
森が心を育んでくれます。
「2011年3月11日の犠牲を無駄にしないために」と震災復興プロジェクトを立ち上げ、昨年の夏以降、被災されたご家族をアファンの森に招かれ、蘇えった森の中で、疲れた心と体を解放し思いっ切り笑う子供たちの声が森に広がります。
そして『復興の森づくりと森の学校プロジェクト』~東松島市との取り組みがスタート。
「美枝さん、僕は自然を活かした高台の森の中に、里山の集落のように木造の教室が点在するような学校で子供たちを学ばせてあげたいのです」と仰り翌日は東松島に向かいました。
CW・ニコルさん来日50周年記念の本が出版されました。
知人でカメラマンの南健二さんとの共著。
私も序文を書かせていただいております。ニコルさんの50年の歩みと南さんならではの写真と文章に加え、放浪の俳人、種田山頭火の俳句を添えて。
けふはここ、あすはどこ、あさっては』(清水弘文堂書房)
インターネットなどでも購入できます。
初秋の黒姫・アファンの森で木肌に手を触れると、まるでその樹に抱きしめてもらっているような、満ち足りた気持ちになりました。

「黒姫・アファンの森を訪ねて」への2件のフィードバック

  1. 先日のアファンの森ではたいへんお世話になりました!!
    お天気にも恵まれて良かったです!!
    やまぼうしさんでお聞きしたニコルさんのお話を実際自分の目で見て、森の匂いを嗅いだり、虫の声を聞きながら、ニコルさんが訴えていらした事が少しずつ見えてきました。
    ニコルさんの志に感動しながらも、今回の旅は色々考える事と同時に気づきと出会いに感謝の旅となりました。
    また、様々なお話しを聞かせて頂ける事楽しみにしています。

  2. イッコさん
    お便りありがとうございました。
    楽しかったですね!
    皆さんのお顔が少女時代にもどったように、爽やかな森のを散策なさる姿を嬉しく拝見しておりました。
    森の中に入ると、守られている・・・という安心感に包まれますね。
    ニコルさんの活動は地味で根気のいる作業です。
    でも、皆さんのような方々の支えくれる存在が彼の背中を押してくれるのです。
    これからも宜しくお願いいたします。
    今度は花の満開の春にでも行きましょう。
    浜美枝

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