美の里づくりコンクール

ものの豊かさが貨幣価値のみで測れないことを知ることが文化ではないでしょうか。私は仕事がら日本中の農村や漁村、山村を訪ね歩いてきました。
多くの深訪から、ものの豊かさは、生産・消費されたものの貨幣価値のみでは測れない・・・と気づかされます。
旧国土庁が主催した「農村アメニティーコンクール」から、現在では農林水産省、農村開発企画委員会主催の「美の里コンクール」の審査委員を続ける中で、農村地域の活性化と農村の快適環境を保全し形成するという運動を応援し続けてまいりました。やがて25年がたちます。
現在、さまざまな景気の影響によって多小の傾きはあるものの、暮らしの質への追求はこれからさらに進んでいくでしょう。
今、自分たちが手にしているこの土や緑を大切に暮らしながら、自分たちの町や村を愛して、そこに未来の可能性を見出していこう・・・そんな気運が感じられます。
過疎化や後継者問題、たくさんの悩み、問題山積しているのも事実ですが、地方の皆さんのお顔が輝いています。地域住民の熱心な村・町おこし運動によって見事に再生している事例を、尊敬と感動のうちに拝見しています。
今年入賞した中から優秀な3事例をご紹介いたします。
『山形県 白鷹町』 いきいき深山郷づくり
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集落78戸、深山地区では全戸が「深山活き生き行きたくなる郷」をめざして~のどかな暮らしと風景づくり~に取り組んでいます。地区に残る自然や景観、伝統や技術、農業や食など、日常の暮らしに磨きをかけ来訪者との出逢いの場をつくり、まず住民が気持ちよく暮らし続ける環境を整備し、その魅力を外部に発信しています。
「深山の色」を決めよう!と考え美しい集落となっています。
○ 地区内の環境整備
○ 石仏の調査復元
○ 深山和紙の伝承保存
○ 農家民宿の運営
○ 耕作放棄地対策
○ 国重要文化財「深山観音堂」の保存
など等、様々な取り組みが行われています。
この地域ほど少子高齢化という課題をうまく解消した地域はありません。
現在78戸の世帯に対して30戸が後継者と同居し、内17戸が三世代同居。
大きな理由として、同世代の仲間が地域に残ったり戻ったりしていること。
暮らしやすい環境に努力しているのでしょう。
のどかな風景を維持管理するのは大変なことです。
「標識がひとつも無い自慢をまもれるか」
これは集落、皆さんの大変な努力です。
田植えが終わったあとの棚田の田んぼもさぞ美しいことでしょう。
『奈良県・明日香村』
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石舞台古墳の背後の高台からの眺めがまさに「美しい日本の郷」です。
古代史の舞台となった明日香村の景観を修復・保全することを目的に内外のボランティアが活動しています。6集落で計21ヶ所の景観を修復・保全しこの10年間で延べ2,300人が参加し、歴史ある郷を守ってくれています。
「国際作業キャンプ」が見事に成功しています。
この目的は、英国ナショナル・トラストの作業キャンプ(ワーキング・ホリデー)のように、歴史的文化遺産のある風光明媚な場所で、ちょっぴり汗をかきながら、古代ロマンに思いをはせつつ、泊り込みで作業し、景観保全・修復に貢献する。そうした達成感は素晴らしいことですね。
日本人の心の故郷・・・明日香。
川沿いの草刈、雑木の伐採、清掃、荒廃した竹林を伐採して山桜を植え・・・とこうした活動なくして”ふる里”は守れません。この村の方々はオープン・マインドで外からの方々を暖かく向い入れ、お互いに文化財を守っているのでしょうね。素敵な活動です。
『北海道 鶴居村(つるいむら)』
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鶴居村は、道東の太平洋の釧路市の北西部40キロに位置し、南部は釧路湿原です。酪農を基幹産業とし美しい村です。村の名前が示すとうり、特別天然記念物タンチョウの生息繁殖地で、普通にタンチョウの飛来を見ることができます。村民一丸となって「クリーン作戦」にも取り組み美しい村づくりに積極的です。
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何といっても”美味しい村”です。
「鶴居のむらレシピ」を見ると、わあ~食べたい・美味しそう!と思わずゴクリ。じゃがいも、キャベツ、玉ねぎ、人参、ズッキーニ・・・畑でとれたての野菜に牛乳、そして大好きなチーズ。カボチャのリゾットや、ミルクチーズフォンデュ、デザートには牧草ロールケーキ・・と牧草地に大きな布を敷いてピクニック。
ここには日本有数の広大な自然環境があり、丘陵地帯が織りなす景観は、フランスの田舎を旅しているような気分になります。
鶴居村は2600人の小さな村です。
一人ひとりがこだわりを持ち活動しているのです。
欧州にも引けを取らない牧歌的酪農郷です。
たまには長期休暇をとって、のんびり観光ではない滞在をしたいですね。
そんなことを思わせてくれる理想郷です。
この3例だけではありません。
日本全土に、美しく心やすまる”故郷”がたくさんあります。
そんな故郷を守っている地域の方々のご苦労を思う時、心から感謝いたします。

「美の里づくりコンクール」への2件のフィードバック

  1. 「美の里づくりコンクール」では、大変お世話になりました。
    北海道鶴居村観光協会の服部です。
    この度は、ブログにて鶴居村をPRしていただきありがとうございます。
    これからも2600人の小さな村らしい、ここならではのおもてなし観光、農村観光に努めたいと思います。
    今年度は隣接する標茶町と酪農景観を活かした観光企画
    「鶴居村~標茶町 ミルク街道プロジェクト」を創ります。
    風になびくまきばで草をはむ乳牛、そんな風景が感じられるメッセージを届けたいです。   一歩づつ、がんばります。 感謝

  2. 服部さま
     
    ブログへのコメント、ありがとうございました。
    鶴居村はさぞかし爽やかな風が吹き、旅人も
    多いのではないでしょうか。
    「ミルク街道プロジェクト」素敵ですね。
    のんびりと少し長めの休暇で伺いたいです。
    がんばってください。
    浜美枝

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