湿生花園は巨大な寄せ植えガーデニング

私の住んでるいる箱根は午前中から蜩が鳴き、虫のすだく声に夏の終わりを感じます。
先日、早朝からの原稿書きもひと段落したので「そうだわ、夏の花を見にいこう」と思いたち、仙石原の「湿生花園」に行ってまいりました。

山の花や植物を見にいらっしゃるのは以前は殆ど女性でした。でもこの頃は中高年のご夫婦が多くなりました。楽しそうに花と一緒に写真を撮ったり、俳句を読んだり、スケッチをしたり、素敵です。
湿生花園は、仙石原地区に位置します。
この仙石原は、江戸時代に「千石原」とか「千穀原」と呼ばれていました。
古文書によると、慶長十六年(1661年)には五名の村人が二町歩余りの土地を耕していて「耕せば、千石はとれる」ということが地名の由来だそうです。今、この地に立つと、昔の人々の苦難がどんなものだったか偲ばれます。
山に囲まれた仙石原は、二万年前は湖の底だったそうです。
川や湖沼など水湿地に生息している日本の植物や、草原や林、高山植物、めずらしい外国の山草も含めて多様な植物が四季折々に茂り、花を咲かせ私はここにくるとえもいわれぬ「至福の時間」を体験できます。

今、ガーデニングが盛んです。この湿生花園全体が巨大な「寄せ植え」だと思ってください。 サギソウ、カワラナデシコ、ミズキンバイ、オミナエシ、ヒオウギ、ウバユリ、ナツズイセンなどなど夏の花がいっぱい。いつ来ても、植物の多様な生命に感動してしまいます。
花や植物のにぎわいに鳥や虫、それからイタチやタヌキやかやねずみなどが棲み、園内に飛来し、まあ、にぎやかに鳴き合います。
箱根に住んでよかったなあ、と、しみじみ思うひとときでした。
植物とふれあって帰る道すがら、もう気持ちが癒されているのを感じました。