映画 『木漏れ日の家で』

「木漏れ日の家で」という映画を観てきました。
岩波ホール、開場まえからかなりの長い列ができていました。
ポーランド映画界から、新たな珠玉の名作が誕生しました。
ワルシャワ郊外の森、木漏れ日の中、91歳のアニュラと愛犬の物語です。
主人公はアニュラと同じ91歳のダヌタ・シャフラスカ出演。
芸歴は83年におよびます。
木漏れ日に一面のガラス窓が輝き、その窓際から外を眺めています。
年老いても瑞々しい感性、ひとりで誇りを持って生きる姿に胸をうたれます。
社会との関わりをもち、時には息子との縁を切っても、この思い出のある建物を守り続け、自らの人生の終焉を迎えます。
モノクロームのもつ陰影が見事です。新鮮です。
今ではそのほうが、はるかに手間がかかるのに。
ラストシーンではじめて「木漏れ日」を通して樹々の優しさに触れた時、はじめて監督のドロタ・ケンジェジャフスカは語っている言葉の意味を理解します。
「アニュラほど前向きで、勇敢で、実際的な人はほんの少ししかいません。また、誠実な(せめて自分自身にたいして)人もごくわずかです。だからこそ私は、一般には敗北者と思われている老いた女性、しかし、人生最後の日々においてすら、他の人々に善を与えることのできる女性について物語ることが、自分の義務であるとおもったのです。」・・・と。
素晴らしい映画を観ました。
ゴールデンウイーク、お勧めの一本です。