「白洲正子の世界」

世田谷美術館で開催されている「白洲正子 神と仏、自然への祈り」を観てまいりました。
入り口のアプローチは熊野古道から。
生誕百年を記念しての特別展。
亡くなられてとうに13年が過ぎているのですね。
3月11日以来心がざわついていました。
白洲正子が神や仏を訪ね歩いた足跡を辿って自然への祈りを追体験してきました。

「旅の楽しさは道草をくうことにある」と何度も随筆で読みました。
春から夏へ、秋から冬へと移り変わる「日月山水図屏風」は室町時代のもの。
「かくれ里」「十一面観音巡礼」などを拝見すると正子さんほど”旅の名人”はいらっしゃらないと思います。
そんな旅の中で出会った 石仏・観音さま、近江の山河・・・
そして能面のかずかず。
心がほっこりしました。
生前、一度だけ鶴川の白洲邸にお招きいただきました。
囲炉裏端でご馳走になった鴨鍋の美味しかったこと。
そして食事の終わるころ、囲炉裏に香が焚かれたこと。
生涯の思い出です。
公園に出ると桜が間もなく満開になる季節。
人々は桜の木の下で静かにお花見をしていました。

美しい世界を堪能させていただいた展覧会でした。
足元にもおよびませんが、私も旅にでたくなりました。
      白洲正子「神と仏、自然への祈り