全国農業新聞写真コンクール

「全国農業新聞写真コンクール」の審査委員を仰せつかって随分とたちます。
審査委員長 写真家の南良和氏
審査委員  映画監督の神山征二郎氏
審査委員  全国農業会議所事務局長の中園良行氏
そして私です。

今年も素晴らしい作品が出品されました。
1枚の写真にその時代の問題提起、活動、そして農村風景から見えてくる人の営みや柔らかな土やお日様の香り、緑の葉に美しく照り映える光、優しく頬をなでる風など、日本は「農の国」と実感いたします。
昨年第27回の大賞は「ばあちゃんは牛が大好き」でした。
撮影者は秋田の五十嵐清光さん。
「旧盆行事を撮りに行った際、知り合った牛好きのおばあちゃん。
3年前まで夫と2人で牛を飼っていたが、今は一人で飼っているとのこと。
黙々と働いている姿がとてもたくましく、また優しく感動しました」
と仰います。
私はこのような講評をさせて頂きました。
「応募された作品のどれもが、農村の暮らしや人々の営みをしっかりとらえていた。中でも五十嵐さんの作品は素晴らしい。夫に先立たれた今も、ひとり、ひたむきに牛の世話をするおばあちゃん。その牛を見つめる目の優しさ、手のたくましさ、背中の温かさ、神々しさ・・・農業を支えてきた人々の聖なる心が表れていると感じた。今、日本の農業は岐路にある。しかし、農業は工業と違う。農業が生むのは命である。おばあちゃんの姿に体現されているものが農業には必要なのだ。この心がこれからも日本の農業や農村、人の絆を守り続けていくことを願いたい」
昨年のコメントです。
日本列島が未曾有の災害に見舞われた東日本大震災。
かけがいのない多くの命と営々と築きあげた暮らしが一瞬にして失われ、あの豊かな大地が、美しい海が、そして動物たちとともに生きてきた場所が・・・
人々の笑顔が一日も早く戻りますように。
そして、私たち一人ひとりが手をたずさえて乗り越えてまいりましょう。