近畿大学・答志島へのフィールドワーク

三重県鳥羽市にある離島、答志島に行ってきました。
4月から近畿大学の客員教授として講義を受け持っています。
テーマは「自分らしさの発見―暮らし・食・農・旅がもたらすもの」
一回目は「現場を歩く大切さ」についてでした。 
机を前にして考えることも大切ですが、机の上の資料には限界があり、現場を足で歩かない限り見えてこないことがあることを、40年以上農山漁村を歩き回ったフィールドワークから私は実感しました。
現場を歩くなかで、人は一人で生きているのではない、多くの人に支えられて生きているのだということを、学生に感じとってほしい・・との願いがあります。他者を理解することは、自分を理解すること。大地を歩き、人に出逢い、話を聞き、語り合い、その中から見えてくる切実な現実から導きだされた問題解決法にこそ、真の力が宿るということを知ってほしいのです。
そこで、以前授業で観た民族文化映像研究所の「寝屋子」について「現場に行きたい!」との要望が学生からあり行ってきました。この島の歴史は古く、持統天皇の伊勢行幸にあたって都に残った柿本人麻呂が
「釧着く答志の先に今日もかも大宮人の玉藻刈るらむ」
と万葉集で詠んだ地です。
そこに「若者宿」とよばれる「寝屋子制度」があります。かつては、中学を卒業した男子が仲間を作り、頼んでどこかの家をヤド(宿)にそこに寝泊りするのです。日本には古くからあるシステムでしたが、大正期を境に減少。現存するのは、答志地区のみになってしまいました。
 
血のつながった親子ではないけれど、生涯、親子のように付き合う。
寝屋子同士も死ぬまで兄弟同然。
その背景には漁業という命をかけた仕事には、地域の人びとの関係性、共同性、結びつきが大切だということがあります。今も島ではこの制度は住民の精神的な居場所であると共に、地域の教育力の基盤になっています。もちろん時代の流れの中で少しの変化を経ても、「住民が助け合う」文化は受け継がれています。
インターンシップのレポートでは
「寝屋子の制度は日本の宝といえる文化だと思う」
「日本で薄れてしまっている人と人との関わりの大切さを実感した」
「子供たちに限らず大人たちにも人のつながり、仲間はすごく大切な存在なんだと改めて感じた」
「現在、農村や漁村では少子高齢化によって、後継者となる子供が減少しており、より一層過疎化が進むなかで寝屋子制度にヒントがあるかもしれない」
など、皆さん感想を寄せてくれました。
さて、ビデオを観て感じたことを実際に「現場を歩き」どのような思いがしたでしょう。次回の授業で聞かせてもらいます。
梅雨の中、当日は眩しいほどの太陽が海を渡ってくる風も心地よく、船着き場でかつて寝屋親であり大勢の子供たちの親だった山下正弥さんが、船が見えなくなるまで手をふって見送ってくださった姿に、暖かな人のぬくもりを感じた答志島の旅でした。
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「近畿大学・答志島へのフィールドワーク」への6件のフィードバック

  1. 浜さんは「農」のエキスパートでしょうが、「漁」にも目を向けていらっしゃるようで安心しました。網野善彦さんを持ち出すまでもなく、「漁」のほうが死と向き合う危険性を孕むぶん、共同帯としてのきずなが、強く求められるものかもしれません。学生のみなさんが、未知との遭遇から、歴史や文化といった、長いスパンの時間に起きた出来事を、意識していただけることを願ってやみません。

  2. 浜さんのインターンシップを受講している植山です。学校で答志島のビデオを観て感じたのと、実際に答志島に行って見て聞いたのでは少し差異を感じました。やはり現場を歩いて感じる・確かめることが大切だなと思いました。福井県でのフィールドワークを楽しみにしています。

  3. フィールドワークおつかれさまでした^^
    離島に行くことがはじめてだったので、
    すべてが新鮮でした
    楽しくて1日があっという間でした
    島の人たちの暮らしや、寝屋の制度などについても
    肌で感じることができ、島の方の生のお話も伺えたので
    とても勉強になりました。
    ゼミの自由プレゼンの題材として発表したところ、
    「実体験を用いていて、とてもよかったよ」と
    担当の先生にほめてもらえました!やったあ(^^)

  4. 浜先生のインターンシップに受講しています花立です。
    答志島でのフィールドワークでは山下さん達の寝屋子の話が聞けたり、答志島の風景や住民の生活様式を見たり、夜の先輩方の考えさせるような話を聞いたりなど、貴重な体験ができたと思います。
    資料だけじゃなく、現地に赴いていろいろな事を実体験することが大切なことだと認識しました。
    福井県若狭でのフィールドワーク楽しみにしています。

  5. ビデオで見た答志島へ実際に行き、山下さんのお話も聞くことができて、すごく貴重な経験ができたと思います。
    山下さんに島を案内してもらった時、山を少し登った所から見た景色は海がキラキラしてて綺麗でした。
    天気にも恵まれて、普段は都会で暮らしていてなかなか触れ合えない自然を満喫することができ、楽しくてずっと歩き回っていたので変な日焼けの後が残ってしまいました 笑
    充実した一日になってよかったです。

  6. 見るもの、感じるものが全て新鮮で、とても貴重な体験ができました。
    現場を歩き人と触れ合うことが本当に大切なんだと改めて感じました。
    この経験は人生での大きな糧になったと思います。
    福井県若狭でのフィールドワークでもたくさんのことを学びたいと思います。
    今から楽しみです!

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