浜美枝のいつかあなたと ~ 康宇政さん

先日も素敵なお客様をスタジオにお招きいたしました。
ドキュメンタリー映画「小三治」の監督、康宇政(カン・ウジュン)さん。
康宇政さんは1966年、東京のお生まれ。
東京写真専門学校芸術科を卒業後、90年代にデレクター・デビューされ、
これまでに数多くのテレビ番組、ビデオ作品を監督、演出されてきました。
本年、はじめての長編ドキュメンタリー映画「小三治」を発表いたしました。当代随一の落語家、柳家小三治師匠をモチーフにした1時間44分の作品です。私は公開前に試写会で拝見いたしました。
おりに触れ「元々、私は自分の落語の記録を残すのが嫌な人なんです。噺家なんて、どんどん変わっていくものですしね。」と語られる小三治師匠。そんな師匠が、上野・鈴本で「歌ま・く・ら」 のリサイタルをする際、「歌を録音してくれるかい」と監督にお願いしたのが始まりとか。
小三治師匠”追っかけ”の私としては、早朝箱根の山を下り東京の試写室へ・・・。
もう、たまりません!フアンには。
鈴本演芸場をはじめとする寄席、全国各地での独演会や落語会、北海道から九州までの旅の道中や舞台裏までありのままの師匠が描かれています。
今まで、自分のことを多く語らなかった小三治師匠でしたが、カメラは師匠に寄り添うように、静かに静かに、そっと奥深く「人間・小三治」に迫っていきます。ふっとした仕草、表情、語られる言葉に、ひとりの名人と呼ばれる噺家・小三治の心のうちを見事に映し出しているのです。
お客様には見せない苦労・苦悩の姿も。
「康監督、ありがとうございました」と思わず心の中で感謝いたしました。
小三治語録を少しだけ。
「芸はひとなり。技術で出来ることはたかがしれている。」
「言葉よりも、ひとの”こころ”ありき。」
名跡について。
「名前が人をつくるんじゃない。よい仕事をしていれば、それがよい名前に見えてくる。」
「遊びは真剣に。」
等々・・・心に染み入る言葉のかずかず。
映画のクライマックスには小三治師匠の落語「鰍沢」の模様がおさめられています。
監督のお話は文化放送「浜美枝・いつかあなたと」
2月15日(日曜) 午前10時30分~11時まで お楽しみに。
映画「小三治」は21日(土)から、「ポレポレ東中野」や「神保町シアター」などで公開されます。また映画のインターネット公式サイトもありますのでご覧ください。