「凛として、箱根暮らし」

これまであまりプライベートについて語ってこなかった私ですが、働く女性として感じたことや子育てをしながら感じてきたこと、あるいは母でも妻でも女優でもない、ひとりの人間として感じたことなど、等身大の私を、これまで雑誌「ゆうゆう」で連載してきました。その連載を「凛として、箱根暮らし」(写真:大倉舜二氏)として一冊の本にまとめ、その作業を通して、自分に真摯に向き合うことができました。
またこの本の出版を契機に、私の愛する箱根の家に新たな風を呼び込むような活動をスタートさせたいと強く思い始めました。今後は農と食の仕事を続けながら、日々の暮らしを豊にする様々な提案を箱根の家から行っていくつもりです。
私の10代は、生きるために何かをつかまなければと必死になった時代。
20代は自分の居場所を作ろうともがいていた時代。
そして30代は、仕事や家族のことなど、このままでいいのかと思いつつ、体力気力で何とか乗り切った時代。
40代は家族との関係も変化し、同時に次々に4人の子供たちが思春期を迎え、時に立ちつくしたりもした時代。
50代はそれまでの心の整理をしたりして、元気を取り戻した時代。
ひとつ山を乗り越えたとホッとして、顔を上げると、また別の山が前に控えているような人生を私も送ってきました。けれど連載を通して自分を振り返ることで、私自身、しっかりリセットできたように思います。
「ゆうゆう」の連載をしている4年の間に私も60歳から秋に65歳になりました。時は過ぎゆくのだとしみじみ感じます。私も、思い出が鮮やかさを増す年齢に入ったのでしょう。
いつしか孤独を感じる自分をいとしい・・・と思うことができるようになりました。その裏に、私がこうして今、生きていることに感謝する気持ちが隠れていることにも気づかされました。
これからも私らしく。
10年後の光を目指して、身の丈の暮らしをもとめてまいりたいと思います。
本日12月5日から 書店に並びます。
発行 主婦の友社 「凛として、箱根暮らし