鳥取を訪ねて

因幡の白うさぎ・・など民話のふるさとでもある鳥取に行ってまいりました。
これまで何度もお邪魔している鳥取。
今回は県民カレッジの講座に招かれました。
自然・歴史・温泉・食と酒・そして、人の温もりが宿る民藝。
何度伺っても多くの自然を残した雄大な風景は日本の宝です。大山のブナ林は動植物の宝庫ですし、鳥取県の約7割は森林です。森を守るため、「森林環境保全税」を導入しているとのこと。
素晴らしいですね。
四季折々の花も楽しめます。
有機・特別栽培物の生産など「環境に優しい農業」にも積極的に取り組んでおられます。
そんな、鳥取で忘れられない村に出会ったのは今から17年前のこと。
「香取村」大山北面の中腹、標高350mから1,000mにも位置する高原開拓村の美しさは、この目で見られる理想郷です。
かつて大正浪漫主義が希求した「新しき村」が芸術家、文学者によるイメージの村であったことが思い起こされました。
大山山ろくの香取村を訪れ、当時香取開拓農協組合長、三好武雄さんにお話をうかがいながら、私はふと先にあげたロマンチスト達の新しき村を思い起こしていました。
皆んなが等分に働き、汗の中に生の歓びをしるという。それが生きていることの証しと新しい村を興した詩人や文学者の夢はあえなく消えてしまいましたが、それが決して夢物語ではないことを香取村の人々は示してくれました。
昭和大不況の折の満州入植。敗戦と生き地獄のような脱出行、そして戦後の再出発・・・三好さんは昭和21年の夏、香取村のある場所に探査にたどりつき、「この場所だ」とひらめいたそうです。
戦後、食べることに四苦八苦していた時代に「金の欲しい経営より、生活が楽しめる経営へ」をスローガンにした香取村づくりのスローガンに、まさに村づくり百年の大計があるように思いました。地道なご苦労を支えたのも夢と理想があったからこそ。
百年の大計の中での村づくり・・・。
国家は果たしてそのような大計があるのでしょうか。
このごろ疑問に思います。
日本国土も又、一人一人私たちが夢と希望を託し、参加できる開拓の地であらんことを。