作家のC・Wニコルさんの「アファンの森」で


ゴールデン・ウイークの最中、ニコルさんの森に行ってきました。
素晴らしい天候に恵まれ黒姫も美しく、穏やかな風が森を吹きぬけます。
「アファン」とはケルトの言葉で”風が通るところ”という意味だそうです。
今回は5月16日放送のNHK「生活ほっとモーニング」の収録です。
この森にはじめて伺ったのが、20年ほど前。息子森(シン)と一緒でした。
20年経った森は光が燦燦と降りそそぎ美しい森となっていました。
ニコルさんは、ご自分の森の片隅に炭焼き窯を設けて、ご自分の手で炭を作り、その炭火の恩恵の中から日本の暮らし、文化を見出していらっしゃいました。その時、彼が私に語ってくださった忘れられない言葉があります。それは、
「浜さん。木を切って始まる文化もあるけれど、それによって文化を失うこともあるよね。森を失ったら、文化は完全に滅びます。」
その時ニコルさんはとても分かりやすく、森の大切さについて私に語ってくれました。日本の面積の約7割は森林です。原生林はわずか1%、日本列島の大昔を語る大切な証言者です。無数の生き物の原点です。戦のさなかも、木を切り、それを炭に代えて、無数の家の復興に使い、森は一心に人間に寄与しました。国破れて山河ありですね。自然にたすけられたのに、私たち人間は傲慢になっていないでしょうか。

ニコルさんは黒姫の森林の中に家を建て、森を守り、子どもたちの未来へと繋げていっているのです。”日本の森は病んでいる”・・・との思いから。
私はニコルさんの考えに深く感動し、自分なりに愛する樹木に何ができるかを、いつも考えてきました。壊されて、燃される寸前の民家の磨かれた柱や、芸術的なカーブの梁なども、あわやのところで、多少救うことができました。これらもかつては樹木でした。
 ”木には精霊が宿っている”と、私は信じています。
20年たった森は見事に甦っていました。
森の中でニコルさんの焼いてくださった長野産そば粉の”・パンケーキ”にたっぷりのラム酒いりのフルーツをのせ・・・美味しかったこと。「ごちそうさまでした」。

そして、これからもニコルさんの描く森は深化し続けるでしょう。
後ろ髪をひかれつつ、黒姫を後にしました。
帰りの電車では黒姫にさよならしながら、ビールで乾杯!です。
ぜひ、番組でご覧ください。