謹賀新年

明けましておめでとうございます。
箱根の森の中に家をたてて、もう30年になろうとしています。
今年のお正月も”箱根駅伝”ではじまりました。早朝から富士山が青空のもと美しい姿を湖に映し、ランナーを迎えます。今年もドラマが生まれました。
悲劇や番狂わせ、箱根駅伝はいつもドラマティック。
「銀座百点」1月号にかつて早稲田大学の選手として箱根駅伝を走った映画監督の篠田正浩さんが、作家の三浦しをんさんとの対談でこのように話しておられます。
「正月を選ぶということは、基本的に神事なんですよ。箱根駅伝は、新しい年に精進潔斎した若人が神輿を担ぐように襷をつないで、箱根、つまり富士へ向かって走るでしょう。一種の富士講、イニシエーションだと思いませんか。選手たちが神さまの美しい魂というか神聖なものをわれわれの代表として富士山に取りに行き、それを都会に持ち帰ってきてくれる。駅伝は、日本の文化までもを孕んでいる」・・・と。
今年はどんな年になるのでしょうか。昨年気になる言葉が新聞、テレビなどで報道されるようになりました。
「限界集落」
 
消滅の危機にさらされている集落。そんな集落を救え・・と38都道府県の146自治体が「全国水源の里連絡協議会」を設立し、始動したと新聞記事にありました。たしかに高齢化が進み、田畑の跡地は荒廃し消滅の危機にさらされている現実は旅するなかで実感いたします。
しかし、「限界集落」・・・という言葉をそこに暮らす方々はどのような思いで聞かれておられ るのでしょうか。
人間の歴史の中には、絶えず過ちをおかします。しかし、その過ちを修正する能力はあるかも知れません。もう少し、ふっくらと柔らかな、優しい言葉はないものでしょうか。
日本全体が都市化現象にあります。自然と乖離した生活の中で、自分たちが食べているものの、姿が見えないような暮らしは果たして幸せといえるでしょうか。
見ることは知ること。今年も旅の下にいたいと願っております。
今年も良い年でありますように。