ラジオ深夜便-「大人の旅ガイド・日本のふるさとを歩く」

今回ご紹介するのは、福島県舘岩村(たていわむら)です。
この村は2006年3月に合併し現在は南会津町 旧舘岩地域となっております。人口2200名。
「ヘルシーランドたていわ」ほんとうの自然と、いろり端の暖かさを残した、素朴でやすらぎのある村をめざし高山植物の宝庫であり、田代山湿原や湯ノ岐川、西根川、鱒沢渓谷の季節の移ろいの美しさは素晴らしいです。
舘岩村は、福島県の西南端の栃木県境に位置し、四方を1.500m級の山々に囲まれ、面積の95%が豊かな森林に覆われた、まさに「山紫水明」の美しい山村です。会津若松から車で、おおよそ2時間。現在は「会津鬼怒川線」が開通しているので東京からは電車・バスで4時間の地点となりました。
冬季は気温が低く雪に閉ざされますが、様々状況を克服するために行政・住民が一体となって、美しい山々、いわなが住む清らかな川、そしてひなびた湯の花・木賊温泉といった豊かな自然を大事にしながら、スキー場もあり若者にも魅力ある雇用の場も確保しています。
交通手段は
電車の場合・・・浅草から東武鉄道鬼怒川温泉を経由して会津高原尾瀬口下車。そこから会津バスで40分。舘岩村下車
車の場合・・・東京から宇都宮・・東北自動車道で西那須野・塩原ICから400号で上三依。そこから121・352号線を経て舘岩村へ。
新幹線の場合・・・東北新幹線郡山。磐越西線で1時間、会津鉄道で会津若松・会津田島経由、会津高原尾瀬口下車。会津バスに乗り換え舘岩村へ。会津高原からのバスの車窓から見える風景は素晴しいです。
村は、4つの地区に大きく分かれますが、どこも自然と調和のある村づくりを目指しています。
① 上郷地区は、スキー場を中心としたヨーロピアンスタイルのホテル、ペンションなどリゾート地環境が形成されています。
② 湯の花地区は温泉地で田代山も近いため自然を生かした滞在型。木賊温泉の共同浴場・露天風呂は700年前からあるとされ、地域住民の井戸端会議の場でもあり観光客・釣り客のふれあいの場になっています。(ちなみに、私はまだ入っておりません。次回はぜひ!)
③ 下郷地区は公共施設が集まっていますが、貴重な「曲家」が数多く残って いる前沢曲家集落もこの地区にあり、景観にあった保存がされています。
曲家とはエル字型の平面をもつ民家で、かつては農耕馬とともに生活をしていました。
囲炉裏のある、うわえん・したえんにある「ユルリッパタ:囲炉裏辺」では家人ないし客の座る場所が決まっていました。
③宮里地区は「さいたま市立舘岩 少年自然の家」があり都市との交流も盛んです。貴重な露天風呂もあり、地域は、2,059mの帝釈山を最高峰とし緑の山と清流に恵まれ、新緑・紅葉と四季折々の景観が美しいです。
伝統文化の保存にも住民の皆さまは積極的に取り組んでおられます。”湯の花神楽”いつ頃から始まったかは定かではありませんが、「舘岩 民俗芸能保存会」によって継承されています。
17歳の私はヨーロッパに一人旅に出たのですが、その農地の広大さに感動し、食料の自給できる国は滅びないと聞いたのも、この旅のときでした。
イタリアもフランスもドイツも、都市からほんのちょっと離れただけで、農村の風景は変わります。地平線まで真緑の麦が青々と揺れて広がって、まるで麦の海原のように見えたこと。忘れられません。
地方は高齢化、過疎化も進んでいますが、舘岩の方々の「村への想い」には頭が下がります。
今は亡き東京大学名誉教授でいらした木村尚三郎先生は、あるシンポジウムで次のようにおっしゃいました。
「その土地ごとに、暮らしの在り方や知恵があります。全世界どこでも共通する技術、文明を追求する時代から、その土地にしかない生きき方、そこに安心の根拠を生み出す時代に、今、全世界が大きな転換期を迎えています。技術文明の時代から、土地ごとの地方文化の時代です。土の匂いのするものが再び大事となり、ふるさと志向が生まれています・・・・」
この言葉を聞いたときに、私は身体が震えるような感動を覚えました。
「土の匂いのするものを大切にする」
「その土地に生きることを自分の中心に据える」人が少しづつ増えていったら日本は変わる・・・・そう信じております。
舘岩の赤かぶの栽培の歴史は古く、この種類のかぶは舘岩村でしか赤く育たないとか・・・。 伝統的な食べ方として、かぶ飯・かぶ練りなど数多く伝承されています。
集落内の水路や水場は今でもお野菜や洗濯物の洗い場として女性達の交流の場として使われています。
昔、木地師たちが、山仕事を始める前に山の神へ供え、作業の安全を祈願して食べていた「ばんでい餅」も美味。味は、うるち米のあっさりとした食感でじゅうねん味噌の香ばしさが食欲を誘います。
紅葉の季節、露天風呂にでも入り村の方々とおしゃべり・・・なんていいですね。