沖縄ベンチャー-琉球新報「南風」

なぜ私がこんなに沖縄に魅力を感じ、第二の故郷に戻ってきたかのような安堵(あんど)感を覚えるのか。その理由は人だと思う。特に沖縄の女性たちの、辛(つら)いことがあっても空を見上げてスクッと立ち続ける明るさとたくましさ。そのすべてに強くひきつけられている。
職業は旅人かと思うほど、私はこれまでに多くの土地を旅してきた。国内だけでもお訪ねした市町村は1200にものぼる。そこで感じるのは、出会った人たちの印象で土地への親しみ度が決まるということだ。
私が親しくさせていただいている仲間に沖縄ベンチャークラブのOGたちがいる。ベンチャークラブはボランティア団体・国際ソロプチミスト沖縄に認証された、働く若い女性たちのボランティアグループだ。「冒険なくしては何物も得られない」をスローガンに、月1回の早朝清掃をはじめ、子どもの入院施設やアメラジアン・スクール・イン・オキナワへの訪問、ラオスやフィリピンに絵本を贈る活動、さらにはチャリティー講演会の収益金で那覇市にリフト付きバスを寄贈したり、ペルーに幼稚園を建設したりと活動は多彩だ。私はベンチャークラブ主催の講師に招かれたのがご縁でおつきあいがはじまり早17年となる。
彼女たちは夢を語り、その実現に向かい真摯(しんし)に努力を続けている。長い年月の間には山も谷もあっただろうに、希望の光が消えることはなかった。その女性たちが今年、沖縄をアピールする事業を始めると聞き、応援したいと切に思った。というわけで、私はこれまで以上に沖縄を訪ねることになりそうなのである。応援といいつつ、こちらも彼女たちから多くの喜びをいただいているわけで、こうして逢瀬(おうせ)を重ねるうちに文字通り、沖縄が第二の故郷になりそうな予感もしている。
琉球新報「南風」2006年12月12日掲載